2011年3月17日木曜日

町が活気を取り戻す時

その昔、うちの会社の取締役の一人が、
ある雑誌の編集に関わっていた時の話。

阪神大震災がおこった。

彼自身も、被災者だったが、雑誌の復刊のために、被災地をまわり、
色々取材して感じたことを教えてくれた。

ラジオ→新聞→テレビ→雑誌。

これが、被災者にとっては、
重要なメディアの順だと、彼は考えた。

雑誌は、趣味性が高く、最も緊急性の低いメディア。

だから、他のメディアがやるような被災地の報道や、
他の雑誌がやるような被災地を避けた記事づくりをしても、意味がないと考えた。

「神戸に、来て下さい。」

彼が伝えたいと考えたメッセージは、それだった。
それが、雑誌の果たす役割であり、自分の仕事だと。

だから、まだ片付かない店の中で、きれいな食器をわざわざ用意させて、
おばちゃんを元気づけ、料理を盛り付けさせたところを写真に撮った。

電車がつながりはじめ、雑誌を見た人たちが、
たくさん店に押し寄せた。往時の勢いを取り戻すきっかけになった―。

今回の地震と、重なる部分と、そうではないところがあると思う。

いま、“素人が被災地に行くことは、復興の邪魔になる。”とばかりな話が多い。
それは、一面の真実ではあるけれど、また、それだけが真実を映しているとも思わない。

たしかに、素人のボランティアが、現場の混乱をさせることはあったろう。

でも、身内を心配して運んだ食料や自分の知る誰かを助けたいという、
その素朴な気持ちが、人をはげまし、早期の復興につながった部分は絶対あると思う。

人を呼ぶことと、行くことの重要性。

一日も早く、たくさんの人が行き来し、
町が活気を取り戻すよう願っている。

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