2013年9月29日日曜日

【ちょっと気になるアート入門17 北斎漫画】『まさに、マンガだ!』

浮かぶ浮世は楽ばかり、潜ってみれば得ばかり?!『北斎漫画』第4編「浮腹巻」

「富嶽三十六景」がシリアスな面だとしたら「北斎漫画」は、
葛飾北斎(1760-1849)のユーモラスな一面を見せる作品。

北斎は、ゴッホ、ドガなど印象派の画家に影響を与え、
1997年、米雑誌「ライフ」の企画「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」で、
日本人として唯一ランクイン。

「北斎漫画」はそもそも弟子への指南書として描いた「絵手本」ですが、
その中身は、江戸の庶民の生活や風景、動物・昆虫など、
数千ものイラストを15編にわたって描かれています。

特に、初編(文化11年,1814年)から10編(文政2年,1819年)までは、
約5年間という短い期間で発刊されています。

11編~14編は、北斎漫画・全10編が、人気だったために、
リクエストに応えて作ったものですが、13編、14編になるにつれ、
精根が尽きた感じがします。

なお、15編は、北斎の死後(明治11年1878年)に出された、
遺墨集という形で刊行されました。付録と位置づける研究者もいます。

さて、メインの10編が描かれた文化・文政を含め、
江戸時代は2百数十年もの間、戦の無い極めて平和な時代。
治安も安定し、一般庶民の生活にもある程度の余裕が生まれ、教育レベルも向上。


一般庶民向けての出版物も増えていく。
人々は、粋を好み、不粋を嫌う。犯罪は、不粋の典型、ゆえに自ずと犯罪率は低かった。
そんな時代背景の中、ある意味、『北斎漫画』は、必然的に誕生したとも言えるかもしれません。

ちなみに、今では、世界で通用するマンガ(漫画)ですが、
「漫画」という言葉は、北斎が、『北斎漫画』で初めて用いた言葉。

当時は、「漫筆」という(今の言葉でいえば、“エッセイ” に近い)言葉を
自分の画に応用して「漫画」という言葉を作ったと言われる

さて、作品に目を移すと、版元も、ちょいちょい出てきて
スポンサーにしているところも面白い。

バラバラに描かれているように見えて、
その実、ストーリーや、つながりがあったりなど、
コンテクスト(文脈)を理解できれば、さらに楽しい。

剣術の試合も、北斎にかかれば、およそ真剣さが感じられない、
ナンセンス感あるふざけたものに仕上がっています…(^_^;)

まさに、マンガだ!

剣術稽古?わりとめちゃくちゃ(^-^)


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